現存する小鼓で一番古いものは、胴は室町時代に、革は江戸時代に作られたものです。 小鼓がはじめて作られたのは、室町時代といわれています。猿楽・田楽の伴奏楽器として用いられました。 ちなみに能の大和四座発祥の地、奈良県の多武峰は小鼓のふるさとといわれています。 その時代から、形は今もずっと変わっていません。 初期の頃は、あまり音色にこだわっていなかったのですが、能楽の発展と歌舞伎の出現によりさらによい音色が求められるようになりました。 現在舞台等で使われている小鼓は、安土桃山時代から元禄時代に作られたものが使いやすいとされています。
猿楽・田楽の伴奏楽器として作られていた頃は、革の材料として子馬以外に身近な動物の革(たとえば、牛、猿、いのしし、鹿など)も使われたと言われています。歌舞伎の義経千本桜「初音」の鼓は親狐の革と設定されていますが、あながち荒唐無稽でもないように思います。先人は色々試行錯誤したのでしょう。 最近では、もっともよいとされる仔馬の革が入手難で仔牛の革も使われていますがこれはよくありません。仔馬の革は長い間使っても、復元力が強くもとの状態に戻りますが、仔牛の革は使えば使うほど、伸びきってよい音色が出にくくなります。 胴には、昔から桜材が使われています。桜の木は他の木に比べ、とても堅く長期にわたり、変形しにくく、また音をよく反響するとされているからだと聞いています。 桃山時代に作られたとされる胴は今でも現役で舞台などで使われその音色を響かせています。